2022.3.7(最終更新日 : 2022/8/15) Show 業務用アプリを配布する方法は、全て列挙すると実に7種類もあります。どの配布方法を選ぶべきかはアプリの特性や各社の状況によりますので、一通り配布方法を知っておくのは良いことです。 (用途やアプリに応じて様々な配布方法がある) そこで本稿では全ての配布方法の概要を網羅的に紹介します。また、各方式について詳細を記している本サイトの別投稿へのリンクも紹介しますので、詳しく知りたい場合は各リンク先を参照して下さい。 本稿は、アプリの配布方法に迷った時の道標として使えるページです。是非、本稿をブックマークして頂き、アプリ配布方法に迷ったら参照するようにして下さい。 配布方法全7種以下に一覧を列挙します。
AppStore公開アプリAppStore上に公開されている既存アプリは全てABM+MDM経由で配信することができます。例えば Box や DocuSign など既存アプリを業務でそのまま使う場合が該当します。 (業務用バージョンを別アプリとしてAppStore公開しているものもある。上手はBoxの例) ABMやMDMという言葉が初見という方は以下を参考にして下さい。
ABMでAppStoreのアプリを一括購入(VPPということもある)してMDMに同期して、MDMから配布します。 (ABMでAppStoreにあるGMailアプリを一括ライセンス購入する様子) 多くのMDMで、アップデート時の振る舞いをアプリごとに制御できます。 (アプリ毎に自動更新するかどうかを決めることができる。上手はBizMobile Go!) 自動で更新させることもできれば、明示的な更新を強いることもできます。通常は自動更新としておくのが良いでしょう。 カスタムApp現時点(2022年3月)で、特定企業用の非公開アプリを配信できる唯一の方法です。 AppStoreのインフラをそのまま使いますので、ADP(Apple Developer Program)の契約が必要で、アプリ毎にAppleの審査が必要です。 (AppStoreに申請する際に、実は「非公開」を選択できる) 審査が通ればそれで完了…ではありません。ABMから当該カスタムAppを一括購入し、MDM経由か引き換えコードを使った配布をする必要があります。ここはAppStore公開アプリと同様です。カスタムAppについては以下に記事をまとめていますので御覧下さい。
非表示App2022年に新たに登場した配布形式です。 AppStore公開アプリではあるものの、AppStoreアプリでの検索に出てこなくなり、当該アプリのURLを知っている人だけがインストールできるという配布形式です。 例えば「特定組織内で限定的に使うわけではないが第三者に見せる必要のないアプリ」で利用できます。 AppStoreへの通常のアプリ審査の他、非表示化を申請して受理される必要があります。申請時に合理的な理由(なぜカスタムAppではないのか)を説明することが求められますので、ハードルは高めです。詳しくは以下をご覧下さい。
InHouseアプリADEP(Apple Developer Enterprise Program)の契約を締結できている組織だけが利用できます。現在その契約を持っていない組織ではこの配布方法は採用不可です。 AppStoreインフラを使いませんので審査は不要です。配布台数制限もなく、MDMとABMの連携も不要で、最もシンプルで理解しやすい配布方法です。詳しくは以下の投稿をご覧下さい。
なお、ADEPを契約済である企業であっても、ADEP契約が更新できなくなってきている点は注意して下さい。2022年に入ってから ADEP の更新を Apple に拒絶されたとの報告が幾例かあります。更新を拒否された場合、急いでカスタムAppを使った配布体制に切り替える必要があります。以下を御覧ください。
ADEPを継続できている企業は、規約違反で契約取り消しとならないよう注意しましょう。以下で規約違反になるパターンをおさえておくことをお勧めします。
WebクリップWebサイトやWebシステムをアプリのように配布する形式です。MDMを使ってWebのショートカットを配布するようなイメージです。 (アプリのように見えるが実はWebサイトのショートカットという例) ハードウェアの機能を使わない、オンライン前提にできる、通知はメールやチャットで十分、といった条件を満たせる環境なら、わざわざネイティブアプリを開発しなくても擬似的にアプリ配布が可能です。 面倒なAppleへのアプリ申請やABMの操作等が不要になります。MDMさえ用意できればアプリ配布ができますので、ネイティブアプリ開発に課題がある場合、積極的に活用を検討すべき配布方法です。詳細は以下にまとめていますのでご覧下さい。
TestFlightアプリの申請前や、申請後の本配信前に、関係者限定のテスト用途で使用する配布方法です。 前述したAppStore公開アプリやカスタムAppを使って業務用アプリを配布する場合に、アプリの初回配布前のフェーズや、アプリのアップデート版の本配信前テストに使用します。 ADPの developer console からテストしたいバージョンを登録し、テスターをグループ単位や個人単位で紐付けます。 (これまでInHouseでの配布経験しかない企業は TestFlight をよく理解することが求められる) テスターは情シス担当者、社内評価担当者等が対象となります。テスターのiOS端末には TestFlight なるApple公式専用アプリを予めインストールしておく必要があります。 TestFlightアプリでインストールされたテスト用アプリには、有効期限が90日、旧バージョンにいつでも戻せる、などの特徴があります。なお、TsetFligth は原則本番運用アプリで使ってはいけません。 AdHocアプリテスト用途で使う配布方法です。 TestFlight と異なり ADP にアプリ登録が不要です。TestFlightアプリも不要ですので、気軽にテストが行えます。 ただし、テスター用端末のUDID(端末識別子)情報をあらかじめ収集しておく必要があります。開発者がそのUDIDを埋め込む形でアプリをビルドすると、UDIDが一致する端末でのみインストールできるようになるという仕組みです。 (UDIDを登録した権限ファイルを生成する様子。生成したファイルをビルド時にアプリに紐付ける) インストールには有線・無線の両方が使えます。有線(USB経由)でインストールする方法は以下を参照して下さい。(タイトルはInHouseアプリだが、AdHocアプリでも使える方法)
以上、業務用アプリの配布方法7種を解説しました。詳細についてはそれぞれ対応する投稿がありますので併せてご覧下さい。 Apple AdHocの制限は?ですので、事前にインストールしたいデバイスを登録しておく必要があり、Apple Developer Program のアカウントで登録できる数に限りがあります。 上限は、現在は iPhone 100 デバイス、iPad 100 デバイス、、のように、それぞれの種類ごと 100 デバイスずつになっています。
iOS AdHocの台数は?1つのメンバーシップで、1年間にテスト用およびAd Hoc配信用に登録できるデバイス台数は、デバイスタイプごとに100台までです。
Apple Developer Programの特典は?Apple Developer Programのメンバーは、個々のAppに対してそれぞれ最大1PBの無料ストレージを利用することができます。 さまざまなタイプの機械学習モデルをAppに組み込むことができます。 ユーザーがAppのコンテンツに簡単かつ安全にアクセスできるようにします。
iOS アプリの期限は?もし社内配信している iOS アプリのプロビジョニングプロファイルの有効期限が切れるとどうなる? プロビジョニングプロファイルの有効期限は作成後1年です。 この有効期限が切れるとどうなるか。 アプリがある日を境に起動しなくなります。
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