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著作権・商標権侵害 弁護士監修記事 公開日:2018.1.15 更新日:2022.6.14 著作権侵害となる5つの要件|著作権法に違反する基準とは?
著作権侵害の要件とは、著作権法に違反する基準や条件のことを意味します。著作権が存在している状態や、作品に『類似性』や『依拠性』(既存の著作物を利用して創作すること)などが著作権侵害を成立させる基準です。 自分が運営しているサイトの記事が無断で転用されていたり、撮影した写真や書いた絵がそのまま利用されたりした場合、著作権侵害の疑いがあります。 しかし、著作権法に違反しているかどうかの基準を満たさないケースもあり、被害者の訴えが却下されてしまうことあります。 著作権侵害に該当するかは、5つの要件(条件)で判断が可能です。自身の著作物を利用されていると気付いた場合や、逆に自分が他人の著作物を利用する場合は、著作権侵害の要件を参考にしてみてください。
匿名のアンケートに回答する 著作権の種類と侵害を成立させる5つの要件著作物を保護する著作権を侵害する5つの要件をこれから解説していきます。 ただ、著作権にも様々な種類がありますので、それらもあわせて著作権侵害の基礎知識を確認していきましょう。 著作権(財産権)と著作者人格権の主な種類著作者に与えられている権利については、著作物の財産的な利益を保護する『著作権』と、著作物に対して持つ人格的な利益を保護する『著作者人格権』の2種類に分類されます。 著作権については著作者の了解を得ずにコピーを行うことを禁じる『複製権』や、コピー品を勝手に公衆に提供することである『譲渡権』に、著作者だけが著作物を改変するが許される『翻案権』などがあります。 また、著作者人格権は、無断での公表を禁止する『公表権』と著作物を公表する際に著作者名の表示を決定する権利である『氏名表示権』に、著作物の内容やタイトルを勝手に変更されない『同一性保持権』の3種類があります。 著作権侵害を決定づける5つの基準上記のような著作権(または著作者人格権)を侵害していることを判断する上では、下記に記載されている5つの基準を確認する必要があります。各要件の詳細については次項にて1つずつ説明していきます。
著作権侵害の要件1|著作物であること著作物として認められるものは幅広く、芸術的な作品のほかデータ化されたプログラムについても著作物の一部となりますが、著作権が認められない例外もあります。 著作物に該当するもの以下の創作物に該当している場合、著作物であることが認められます。
著作物であるが著作権が認められないもの下記の4点について一応は著作物ですが、著作権が認められない例になります。
著作権侵害の要件2|著作権の存在が認められること当然の話になりますが、著作権の存在が認められない場合は著作権侵害にはなりません。例えば、上記で紹介した著作権が認められない著作物については著作権侵害の対象にはなりませんが、基本的に著作権は創作されたタイミングで発生します。 著作権は著作物の創作と同時に発生する(無方式主義)著作権を登録する上では手続きや申請は必要としません。無方式主義と呼ばれる考え方ですが、著作者が著作物を創作した時点で著作権が認められます。これは日本を含む150ヵ国以上がベルヌ条約を締結したことで適用されていますので、世界的にも一般的な方式であるといえます。 著作権の保護期間は原則として創作者の死後70年ただし、著作権はずっと保証される訳ではなく、原則として著作権の保護期間は創作者の死後70年であることが著作権法第51条から54条に明記されています。保護期間外になれば著作権が消滅したと見なされますが、一部で保護期間の例外もあります。
日本で保護される著作物であることまた、日本国民が創作した著作物であったり、最初に日本国内で発行(出版)された著作物であったりする場合において著作権の存在が認められます。海外で最初に発行されても、30日以内に日本国内で発行された場合も、日本の著作権法で保護される著作物であると見なされます。
著作権侵害の要件3|依拠性が認められること上記の要件1、要件2は著作物及び著作権の存在を確認できる条件になりますが、要件3と要件4は著作権の効力が及ぶ範囲内において、既存の著作物に影響を受けて創作された点に関連します。 依拠性とは既存である他人の著作物を利用して創作したこと著作権侵害の要件3で挙げる依拠性とは、既存の著作物を参考に創作されたことを意味します。創作した個人のオリジナルではなく、既にある他人の作品を利用して創作した場合は複製権や翻案権における著作権侵害が成立しますが、既存の著作物を知らずに創作した作品が偶然一致した場合は著作権の侵害にはならないとされています。 依拠性が示された事例依拠性について裁判で示された事例がありますので、下記にて取り上げます。作曲家が創作した曲が既存の作品と類似している点で裁判になり著作権侵害が問われましたが、結果的には2つの創作物が偶然的に一致していたと見なされ、依拠性が認められないことを理由に著作権侵害は認められませんでした。
著作権侵害の要件4|類似性が認められること類似性は言葉通り複製(コピー)に関することであり、既存の著作物と似ていることで著作権法に違反していると見なされます。 ただし、単純に既存の著作物と似ているから著作権侵害だと認められる訳でもありません。類似性とは作品の個性を示す独自的な表現が利用されていることを意味します。 類似性とは作品の本質である独自の表現が似ていること著作権侵害の証拠になる創作物の類似性には、表現上の本質的な特徴を直接感得することが一つの条件になります。逆に言えば、ありふれた表現方法は著作権侵害の対象になりません。 例えば、イラストの作成において描き方のパターンが限定されるポーズ(または犬や猫などのキャラクター)や、時代小説で取り扱う歴史的な事実などは独自の表現とはいえず一般的に広く認知されていることになりますので、既存の著作物と類似していても著作権法違反にはなりません。 しかし、どう考えても既存作品の独自なイメージが感じられる場合については、著作権侵害の要件である類似性が認められます。その一例が下記で紹介する『パロディ・モンタージュ』事件になります。 類似性が示された事例パロディとは、他作品から要素を借用して別の作品で引用することですが、著作者の許諾なしで著作物(写真)を勝手に改変してモンタージュ写真を公開した場合、元の著作物の本質的な特徴が明確にされていれば違法行為であることが裁判にて判断されました。 結果、以下の裁判要旨の通り『パロディ・モンタージュ』事件では、著作物を引用した加害者側が著作者人格権を侵害していると決定づけられました。類似性については明確な線引きが難しいところですが、元になる著作物の独自な特徴が残っている場合において類似性が認められる傾向にあります。
著作権侵害の要件5|著作物利用の権限を持っていないこと上記で説明しました4つの要件に加え、著作物利用の権限を得ていない場合、著作権侵害が成立します。著作物の無断使用は違法に該当しますが、著作者より了解を得るなどの方法を取れば著作物の利用が可能になります。
著作物利用の権利を得る4つの方法・著作者より利用の許諾をもらう著作者より許諾を得るために、利用方法や使用料などの条件を明記して契約を交わす必要があります。口頭での約束でも許諾は成立しますが、書面で契約内容を残しておいた方が良いでしょう。 ・出版社との契約を行う著作物が本である場合、著作者と出版社で契約を行い「出版社の設定」をすることがあります。契約をしていない他の出版社については他人の著作物を出版する権利がありません。 ・著作権自体をもらうまた、著作権自体を他人へ譲渡(売り渡す)ことも可能です。譲渡できる著作権は一部だけでも認められますので、複製権だけ売り渡すことや期間を限定した条件の追加も著作者の判断で可能になります。 ・文化庁長官の裁定を受ける著作権者の特定が難しい著作物や、著作権者は特定できているものの本人との交渉が不可能である場合においては、文化庁長官の裁定を受けることで著作物の利用が可能になります。
著作者の許諾なく使える場合もある上記の方法以外にも、定められた条件に限定されますが著作物の自由利用が許される場合が著作権法で決められています。例えば、公衆への伝達はせずに私的使用のためだけで複製した著作物を利用することは違法になりません。また、観客にお金を取らない演奏や、図書館の貸出、美術館での展示公開なども著作物が関わっていますがいずれも合法の行為です。 著作権侵害の被害者になった場合の対処法著作権法に違反する5つの要件を一通り解説しましたが、著作権侵害の被害者側になった場合の対応について最後に確認しましょう。 加害者側へ警告して利用停止を促す著作権侵害の要件を満たし、自分の著作物が無断で転用されていることが判明した際、まずは自分が著作者であることの証拠(著作物の原本・データファイルなど)と相手側が無断で著作物を利用していることの証拠(公開サイトのURLや具体的に類似している部分)を確認することが重要です。 その上で、加害者側へメールやFAXで警告文を送るようにしましょう。自分の著作物を複製公開していることと著作権侵害の旨を明確に伝えて、利用停止を促すべきです。法律に違反していることを指摘すれば、加害者は反省して公開を差し止めることが見込まれます。 加害者側と著作権侵害について意見が分かれた場合は弁護士への依頼を検討しかし、加害者側が警告を無視したり著作権を侵害していることを一向に認めない場合は、損害賠償の請求をしたり刑事上の対抗措置を検討する必要があります。 著作権侵害の要件になる依拠性や類似性では、判断基準が難しいこともあります。 法律的な知識がないと交渉が上手く進まない可能性もありますので、著作権侵害で加害者側とトラブルになった場合は弁護士に相談するのも有効な手段です。
まとめ著作権侵害が成立する5つの基準について説明しましたが、お分かりいただけましたでしょうか。 他人の著作物を意図的に複製して著作権法に違反することを知っていながら利用することだけでなく、知らないうちに著作権侵害の要件を満たしてしまうケースも考えられます。 インターネットの普及が進み様々な情報を使える現代において便利な反面、著作者の権利を害している可能性もありますので注意する必要があるでしょう。
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ネットの誹謗中傷問題を弁護士に依頼した場合、投稿削除・開示請求・損害賠償で弁護士費用は100万円前後になることが多いです。 月額2,950円の保険料で、依頼したときにかかる弁護士費用(着手金)の補償が受けられます。 ネットの誹謗中傷問題だけでなく、労働問題、自転車事故、刑事事件被害、離婚や相続など様々なトラブルで使うことができます。 弁護士費用を負担してくれる
弁護士法人ネクスパート法律事務所 2016年1月に寺垣弁護士、佐藤弁護士の2名により設立。現在の在籍弁護士は14名(2018年1月時点)。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている SNSで記事をシェアする本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 著作権・商標権侵害に関する新着コラム
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著作権侵害の一覧は?一般の方がやってしまいがちな、著作権違反行為を一部紹介します。. 漫画・音楽・動画・プログラムなどを無断使用. 漫画のせりふ・イラストの絵などを無断使用. 無料画像・音楽素材などをダウンロードせずに使用. 有償提供の音楽・映像の違法ダウンロード. 営利目的利用禁止の画像・音楽素材などを使用. 著作権侵害の具体的な事例は?状況別|著作権侵害だと認められる例. Web上の記事・写真などに対する取扱い. 書籍などの著作物を複製(コピー)する時. 違法配信されている著作物のダウンロード. 著作権の具体的な例は?具体的には,小説,音楽,美術,映画,コンピュータプログラム等が,著作権法上,著作物の例示として挙げられています。 その他,編集物で素材の選択又は配列によって創作性を有するものは,編集著作物として保護されます。 新聞,雑誌,百科事典等がこれに該当します。
デザイン どこまでがパクリ?どこまでが「パクリ」? そもそもどこからどこまでがパクリと言われるのか、これには明確な定義はありません。 特にWebデザインはレイアウトが似ているだけでパクリっぽく見えてしまうので、さらに定義が曖昧になります。 最終的な結論は「誰が見てもこれは似すぎていると思うか」という、非常に感情的な視点になってしまうのです。
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