下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。 【動画解説】法律 辻説法 【問 45】 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 宅地建物取引業者は、自ら売主として新築住宅を販売する場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介をする場合においても、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。 2 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、当該住宅の宅地建物取引業者ではない買主に対し、供託所の所在地等について、それらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。 3 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに基準日から3週間以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 4 住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結している宅地建物取引業者は、当該保険に係る新築住宅に、構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の隠れた瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)がある場合に、特定住宅販売瑕疵担保責任の履行によって生じた損害について保険金を請求することができる。 【解答及び解説】 1 誤り。宅地建物取引業者が、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負うのは、自ら売主として新築住宅を販売する場合であり、新築住宅の売買の媒介をする場合には、その義務を負わない。 2 正しい。宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。 3 正しい。新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、その宅地建物取引業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に、基準日から3週間以内に届け出なければならない。 4
正しい。住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅に、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものに隠れた瑕疵がある場合において、宅地建物取引業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、当該宅地建物取引業者の請求に基づき、その履行によって生じた当該宅地建物取引業者の損害をてん補することが、その要件とされている。 【解法のポイント】これは、肢1がいきなり正解で、非常に分かりやすかったと思います。 宅建業法解説:新築住宅購入者を保護するため、確実に瑕疵の担保を履行してもらうための法律「住宅瑕疵担保履行法」。正式名称は「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」といいます。尚、2020年4月から民法大改正により「瑕疵」→「不適合」となりましたが、法規内に瑕疵の定義を置くことで、住宅瑕疵担保履行法では「瑕疵」という文言のまま存置されています。より詳しい解説はこちら:住宅瑕疵担保履行法の完全解説 そこで、新築住宅購入者を保護するため、確実に瑕疵の担保を履行してもらうために制定されたのが、「住宅瑕疵担保履行法」です。 住宅品質確保法 =責任を負わせることを規定した法律 以下、宅建試験での出題ポイントです。 ■住宅瑕疵担保責任の対象 対象者:住宅事業者(宅建業者、建設業者、信託会社等で宅建業を営むもの)。以下、住宅事業者=宅建業者とさせていただきます。 対象物:新築住宅(建設完了から1年を経過していない+居住者がいない←
両方必要)。事務所等は対象となりませんので注意です。 対象取引:宅建業者が自ら売主となり、非宅建業者が買主となる取引。賃貸の媒介は対象となりませんので注意です。 例題:宅建業者Aが、宅建業者Bの新築住宅の販売の代理や媒介を行う場合、A及びB共に住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置を講ずる義務がある? → 誤り:資力確保措置義務が必要なのは、売主である宅建業者Bのみです ■住宅瑕疵担保責任の方法 宅建業者は、自ら売主となり新築住宅を 引き渡したら、瑕疵等が見つからなくてもあらかじめ保証金を供託or保険契約という以下2種類の方法のどちらかを行わなければなりません。供託:過去10年間の新築住宅の供給戸数に応じて算出した額(1戸目は2,000万円)を、供託所に保証金として供託します。供託をした場合はその旨の届出が必要であり、届出先は免許権者です。また、届出の時期は基準日(毎年3月31日と9月30日)から3週間以内であり、供託の届出がない場合は、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たに新築住宅の売買契約をすることができなくなります。 保険契約:国土交通大臣が指定した保険法人と「有効期間を引渡しから10年以上」(保険金額2,000万円以上)とする保険契約を締結します。保険契約は上記基準日までに行えばよいのですが、保険の申込みは工事開始時までに申し込んでおく必要があります。届出に関する問題は供託と同様です。 ・住宅全てについて供託、全てについて保険契約はもちろん、一部を供託で残りを保険契約という方法も可能です ・取得する新築住宅が、供託と保険どちらの資力措置がとられるかを35条の重要事項の説明、37条書面に基づく書面の交付により買主に知らせる必要があります。プラス ⇒ 供託の場合、売買契約締結までに供託所の名称、所在地等を書面を交付して説明(宅建士である必要なし)することを要します。保険の場合、保険証書を交付するだけで説明義務はありません(保険契約の締結が完了していない場合、当該保険契約を締結する予定及び見込みの内容の概要について説明しなければなりません)。 ・供託から保険契約への変更はできますが、保険契約から供託に変更することはできないと考えられています ■住宅瑕疵担保責任を負う期間 引渡しから10年(10年より短い期間を定めた特約は無効) ■住宅瑕疵担保責任の内容 無過失責任 買主が、住宅の構造耐力上主要な部分に隠れた瑕疵を見つけた場合、契約解除(契約をした目的を達成できない場合)、損害賠償請求、瑕疵修補請求をすることができます。 ■住宅瑕疵担保履行法違反の監督処分 宅建業者が住宅瑕疵担保履行法の規定に違反し資力確保措置を行わない場合、指示処分または業務停止処分の対象となります。指示処分に従わないときは業務停止処分、業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき及び業務停止処分に違反したときは免許取消処分となります。 ・住宅販売瑕疵担保保証金の供託等の届出を怠った
→ 指示処分
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